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孤独な散歩者の夢想 (新潮文庫)
 
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孤独な散歩者の夢想 (新潮文庫) [文庫]

ルソー , Jean‐Jacques Rousseau , 青柳 瑞穂
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

十八世紀以降の文学と哲学に多大な影響を与えたルソーが、自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら綴った10の哲学的な夢想。

内容(「BOOK」データベースより)

十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。―自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。

登録情報

  • 文庫: 223ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (2006/07)
  • ISBN-10: 4102007016
  • ISBN-13: 978-4102007013
  • 発売日: 2006/07
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
自己沈潜 2005/11/22
作品のタイトル通りに「孤独」です。何もない自然の広がるところで、誰と語ることもなく散歩をして思いに浸る―それは物凄く寂しいことです。世界を捉えるうえで理性さえも放擲してしまう、それは解説の書簡の引用に見られます。「理性は私を殺す。私は健康であるためには、狂人であってもいい」本文の中には繰り返し同じ言葉が出てきますが「零の存在」という言葉が一番印象に残っています。ひとつの疎外感を表した象徴的な言葉のような気がしてなりません。自分をどの世界に溶け込まそうとするのでもなく、ただ自分の内面において、形而上の世界において、自分自身にだけ語られる言葉です。人間が学び、何かを知ろうとするのは、自分の根源的な問いに答えるための行いであると思います。他人に教えるためでもなく、自分自身を知るためです。

「僕はちがう、自分が学ぼうと思ったときは、それは自分自身を知るためだったからで、教えるためではないのである」(第三の散歩)

狭い「私」という一人称の世界で語られるとき、「独断である」「固定観念に毒されている」などの批判がありますが、その一方で人間が自己の中で内なる広大な精神に思いを馳せたとき、このように際限のない世界があるのだと反面気づかされます。内なる自然も、ひとつの外なる自然と同じです。それは各々の判断ですが、私は

「自分自身を忘れるときのみ、はじめてこころよく思いにふけり、思いに沈む」(第七の散歩)

という自己忘却するくらいの夢想に賭けてみたい気持ちになります。
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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By nicooo
ルソーの作品に触れたのはこれが最初でした。
とても重い作品です。
しかし社交界で挫折した老翁は、孤独を積極的
に楽しみ、飽くまで明るい。
自分の夢想を書きとめる日課を通して
老作家は彼自身のみならず、読者にも孤独の本質を
語りかけてくるのです。
少なくとも
人との軋轢に苦しんでいる私にとって
これほど共感できる作品は、貴重です。
このレビューは参考になりましたか?
31 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ルソーが人生の酸いも甘いもすべて経験した後に語る究極の老境。かなり被害妄想・疑心暗鬼に満ちて始まるが、読み進めるうち、書き進めるうちにそれは安らかな諦念となり、まるでマーラーの「大地の歌」を聴くような気分になる。両者ともに懐疑のエネルギーを以て開始するが、最期にはささやかな人生と世界への愛情、そして告別を以て終わるのである。

ところで本著であるが、私はショーペンハウアーの人生論に非常に近いものを感じた。彼の幸福論は徹頭徹尾ネガティブで、「人生最大の幸福は、徹底的に不幸を遠ざけることにあり、他にはない」と言い切る。このような人生観は、万人に共通するものではむろんない。ショーペンハウアーが「偏狭な天才」(シュタイナー評)と呼ばれる所以はここにあり、彼は世俗を疎みながらも、世俗の人達が本質的には自分と同じ質の人間であると勘違いしている。

ルソーはそれに比べ、哲学的アフォリズムという形体を採っておらず、いわばエッセーのとつとつと語る味がある。実際、彼のように老いて自然に立ち戻る、というのは人間本来の姿であろう。私たちは、あたかも自らの老後を先行体験するかのような気分にさせられる。この二人の語る老境は、決して万人にあてはまるものではないことは明白だが、同質の人間にとってはこのうえない慰めとなりうる。彼らに共通する考えは、老いが基本的に若さに劣ったものではないということだ。
私たちは、老人にはネガティブなものしか見ない。「だから今のうちにやりたいことをやっておこう」という論法である。実際、現状の老人達の在り方を鑑みると、これも頷ける。彼らは「自分たちは燃えかすだ」と自認してしまっているのである。だから彼らの楽しみは完全に受動的であり、消費的であり、何者も生産・建設できない。
このような老いに疑問を持つ読者にとって、本書はおおいなる拠り所となりうる。しかし何度も言及せねばならぬように、このような老いは、万人に楽しめるものではない。私は非常に個人的に、私自身そういう質の人間であることに、密かに安堵している。
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