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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ほうは阿呆のほう,
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レビュー対象商品: 孤宿の人 (下) (新人物ノベルス) (新書)
読み始めて、時代物だったことに気づく(笑)宮部みゆきの時代物は今まで手に取ったことがなかった。 どんなものかな?と先を進めると どうも主人公は幼いしかもどうも哀れな境遇のよう。 と、ちょっと怯んだ。 幼い子どものいわゆる涙モノは苦手だ。 心にひっかき傷が出来るようで。 でも、そこはやはり宮部みゆき。 彼女の筆力は侮れないと感心。 読み終える頃には涙がポタポタと落ちていた。 最初の予感を綺麗に裏切る気持ちで。 物語は、人として扱われることもなかった「頑是無い」子ども、「ほう」 名前の由来はあろうことに阿呆の「ほう」。 生きてゆく拠り所さえない彼女と、 どうにもやりきれない悲しみの中で、 悪霊・鬼と恐れられる流刑の元勘定奉行「加賀殿」。 この二人を取り巻く物語。 「頑是無い」何度も出てくるこの言葉が心に残った。 上巻で何度もそう繰り返された「ほう」。 彼女の無心さが、下巻では ただ死を望むことしかできない「加賀殿」の心にふれ、 言葉と生きる術も身につけてゆく。 下巻ではもう「頑是無い」とは表されないけれど、 その無心さは失われない。 悪霊と恐れられた男だけでなく、 みんなこの「ほう」に救われたのかもしれない。 もちろん宮部みゆきの物語なので、 二人の魂のふれあいだけでは終わらない。 いろんな人生や思い、小藩の苦渋などを絡めていく。 どの生き方も哀しい。 彼女の本を読んだ後はいつも 解ききれない宿題を出されたような重しが残る。 「孤宿の人」 このタイトルは一体誰を指しているのだろう。
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
泣けました,
By 兎 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 孤宿の人 (下) (新人物ノベルス) (新書)
宮部みゆきさんらしく、主人公「ほう」だけの視点だけではなく、周りの人々からの視点も描かれており、読むほどにぐいぐい引き込まれていきました。 ミステリーではあるものの、「ほう」とそれを取り巻く人々との心温まる交流に、 結末は切なくなり泣けてしまいます。 また宮部みゆきさんの別の時代物を読んでみたいと思いました。
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
才あふれる新たな時代小説,
By CheyneWalk (英国ロンドン) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 孤宿の人 (下) (新人物ノベルス) (新書)
宮部みゆきさんのどの作品も、読書好きのだれでもが舌を巻く絶妙な描写と表現力を持ち、様々に交錯する感情の中から、人のもつ愛情、まっすぐなこころを浮きだたせる点においては、この作品もまったくひけを取りません。そして、この作品の新しさは、宮部さんの得意とする江戸の下町を離れて、美しい海と山道のある地方へと舞台を変え、庶民の生活やこころの繊細なひだを写し取ると同時に、身分ある人々の様相や、こころの葛藤も描いているところでしょう。 庶民と武家の人間の描写においては、その言葉遣いから、立ち居振る舞いといった細微にわたり、一人一人の個性を鮮やかに映し出していきます。その対照的な身分にいるものが、主人公である幼い少女ほうによって、関わりを持つ事を見る事ができるのがこの作品の極めて精巧な面白さでもあります。 ほうが幼いうちから過酷な人生に翻弄されながらも懸命に生きてゆく姿と同時に、まっすぐで素直なこころが彼女に絶大な強さを与えている事にも感動しました。 元幕臣と、ほうがともに過ごすことなどあり得ない事が宮部みゆきによって、可能となり、そのシーンは余りにエキサイティングでスリリングで、そしていつの間にか、物語の中にすっかり引き込まれて、私も今夜は、山間の空気の静けさや凄まじい落雷を感じた気がします。 その凄まじい落雷と、その後の海に囲まれた穏やかさが、この物語の高揚と日常の部分を象徴するかのようであり、それはまた、人の人生の上り下りの激しさを暗示しているようでもあるのです。
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