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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「抑揚」がない,
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レビュー対象商品: 孤宿の人 (上) (新人物ノベルス) (新書)
私自身、宮部氏の現代小説時代小説を読むのはまだ2作目であるが、正直、作者のファンでなくては、この上下巻あわせて800ページ以上を読破するのは骨が折れると思う。淡々としながらもハートウォーミングな語り口で作品が進行するのであるが、とにかく、この作品には「抑揚」がない。なにしろ、「孤宿の人」本人が登場するのが、下巻の前半である。そして、作品のテンポがはやまり、面白くなってきたのは下巻の半分過ぎからであった。私自身、作者の作品であるからこそ、「いつか面白くなるはず」と信じて読むことができたが、他の作者の作品だったら、途中で挫折していたと思う。 また、この作品には数人の主要な登場人物が描かれているのだが、結局誰が主人公であるのかがはっきりしなかった。このへんが作品の「抑揚」のなさにつながるのかもしれない。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
純真な魂の成長,
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レビュー対象商品: 孤宿の人 (上) (新人物ノベルス) (新書)
江戸に生まれながら、誰からも顧みられず金比羅参りで棄てられたほうと、彼女を姉妹のように優しく見守る宇佐と言う二人の純真な少女と、国や藩などを先ず考える「大人の世界」の考え方との対立を、丸海藩と言う四国の小藩を舞台に描いてゆきます。物語は、ほうが慕う医者の娘の毒殺事件から始まります。 犯人もはっきりしているのに不問に付してしまう「大人の世界」に対して、疑問を持つほうと宇佐。 その後もこうした子供の目には不可思議なことが続きます。 その裏には、丸海藩が幕府から押しつけられた元勘定奉行の罪人加賀の受け入れがあります。 彼を“悪霊”として恐れる民意を利用して行われる藩の内紛も蠢いています。 そうした様々な事件を通して、成長してゆく二人の慕いあう少女たちですが、ほうは大人たちに利用されてゆくことになります。 宇佐は、そんなほうを影ながら心配しています。 そんな純真な魂の触れあいは、心温まるものがあります。 切ないラストですが、なかなか楽しめる一冊です。
5つ星のうち 3.0
う〜ん…昔を今になすよしもがな…,
By のの (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 孤宿の人 (上) (新人物ノベルス) (新書)
「理由」以降、ひたすらに作品が長くなっていっている宮部みゆきに限らず、ミステリ系では長い作品が増えていますが、そこまでの長さの割に作品全体の密度が低いというのも共通しており、この作品もその一つ。他のレビューにもありますが、登場人物へのそれぞれの力点の置き方が最後まで収束しきれていませんし、エピソードも完結していない小道具が多い。さらに、ここまで大掛かりな道具立てをした割りには、藩の中の相剋も加賀殿の罪の真実もイマイチ明瞭でない。 「ほう」の造形は、宮部みゆきが初めて「少女」で「無垢」を作り出せた成功例でしょう。宮部みゆきはもともと「少年」を使って「無垢」や「純真」を、作品の中で動かすのを得意としてきましたが、どうしても少年に比べて「おませな」印象を持ってしまう「少女」の場合は、「知恵がたりない」という小道具を用いることで生み出すことに成功したのだと思います。 ラストはやはり涙しましたが、その感動と作品の完成度への評価とは別。 「火車」「返事はいらない」「龍は眠る」「蒲生邸事件」といった時代が、懐かしい。あれらの緊張感ある完成度ではなく、「レベル7」に見られるような、気を持たせておきながら、結局はなんとなくまとまりに欠ける、という傾向の方が最近強く出てきているようです。 「理由」も「模倣犯」も一般の評価は高いですが、初期〜中期の作品の緊密度の高さは、年齢的にもはや望めないのかもしれない…。話を発散させずに手元でぐっと引き締めておくには心身の体力が必要ですから。非常に寂しいです。
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