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季語百話―花をひろう (中公新書)
 
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季語百話―花をひろう (中公新書) [単行本]

高橋 睦郎
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

和歌や俳句のいのちである季語。その代表は花である。世に花を愛でない民族はあるまい。だが、花道や能楽といった文化をもつ日本人の、花へまなざしは特別だ。花ばかりか、草木や鳥獣虫魚、万物の美しさを讃えた先人たちの細やかな精神を、我々は保てているだろうか。本書は「花なるもの」をテーマに、一〇〇篇のコラムを収録。豊富な句歌詩文から、自然の美が浮かび上がる。巻末に花人・川瀬敏郎氏との対談を収めた。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高橋 睦郎
1937年(昭和12年)、福岡県生まれ。福岡教育大学卒業。詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 223ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2011/01)
  • ISBN-10: 412102091X
  • ISBN-13: 978-4121020918
  • 発売日: 2011/01
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By 閑居人 トップ100レビュアー
高橋睦郎の導きによって、「季語」の世界に、花と詩を求めて遊ぶ。それだけで、至福のひとときを読者は得ることになるだろう。
近代詩の中で、桜について歌った「最も端正な詩」として、著者は、三好達治の「甃のうへ」を選ぶ。
「あはれ花びら流れ をみなごに花びらながれ をみなごしめやかに語らひあゆみ うららかのあし音空にながれ おりふしに瞳をあげて・・・」
この一幅の絵のような文語自由詩には、先蹤があるという。室生犀星の「春の寺」である。
「うつくしきみ寺なり み寺にさくられうらんたれば うぐひすしたたり さくら樹にすずめら交り かんかんと鐘鳴りてすずろなり ・・・」
という詩である。著者によれば、達治と犀星との間には、資質の近さが感じられるという。
ところで、私は、桜と言えば、梶井基次郎の短編が忘れられない。これも著者は紹介している。
「桜の樹の下には、屍体が埋まってゐる! これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにみごとに咲くなんて信じられないことことぢゃないか。・・・」
昭和2年3月、伊豆湯ヶ島で療養中の梶井を、萩原朔太郎や達治らが見舞いに訪ねている。梶井の桜は、樹齢15年ほどのソメイヨシノだったと伝えられているが、このとき、三人の間で、桜の花を眺めながら、桜談義が行われた可能性がある。
これは想像に過ぎないが、このとき三人三様の「桜」を歌うことが話合われたのではないだろうか。著者は、朔太郎の桜の作品も紹介しているが、私は、朔太郎の「桜」の詩は、別な作品も想定できるのではないかと考えている。
どこから読み出しても、この本は、「花と詩」の世界に、読者を誘ってくれるのだ。
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By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
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和歌や俳句のいのちである季語。その季語の代表である『花』について綴る。
季語は共通意識(日本人の)を呼び起こす一方で、共通意識を破壊する起点とも成りうる。
たとえば、詩歌に現れた桜のイメージを大きく変えたものとして、萩原朔太郎の次の詩を挙げる。

春の実体

かずかぎりもしれぬ虫けらの卵にて、
春がみつちりとふくれてしまつた、
げにげに眺めみわたせば、
どこもかしこもこの類の卵にてぎつちりだ。
桜のはなをみてあれば、
桜のはなにもこの卵いちめんに透いてみえ、
やなぎの枝にも、もちろんなり、
たとへば蛾蝶のごときものさへ、
そのうすき羽は卵にてかたちづくられ、
それがあのやうに、ぴかぴかぴかぴか光るのだ。
ああ、瞳にもみえざる、
このかすかな卵のかたちは楕円形にして、
それがいたるところに押しあひへしあひ、
空気中いつぱいにひろがり、
ふくらみきつたごむまりのやうに固くなつてゐるのだ、
よくよく指のさきでつついてみたまへ、
春といふものの実体がおよそこのへんにある。

なるほどなあ。イッキ読みするか。それとも一日一話舐めるように百日かけて読むか。
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