絶滅危惧種、文房具屋の「オニババ」を描いた...『オニババと三人の盗賊』。
「やがて、影は一つになって、小刻みに揺れはじめた。」...で終わり、
せつなさをかきたてる、『少しだけ欠けた月』。
「秋晴れの青い空に浮かんだ白球が、ゆっくり落ちてくる。」...で終わり、
入院している「あいつ」のことには、それ以上踏み込まない、『ウイニングボール』。
「おばあちゃんと二人で過ごす時間は、静かすぎるくらい静かだった。ときどき
思いだしたようにボソッとなにかしゃべって、言葉を一往復か二往復させて、また
沈黙の中に沈み込む」...と静かに流れていく時間を表現する、『おばあちゃんのギンナン』
「三十年近い年月は、あの頃の人間関係の濃淡を「幼なじみ」の一言で同じ色合いに
染めてしまい、思い出のでこぼこも均してしまう。」...なんでこんな表現ができるんだ、
とうならせる、『秘密基地に午後七時』。
どの作品も、
どんな終わり方になるかは想像できるのに、...それでも...、
ドキドキさせたり、ハラハラさせたり、ホッとさせながら、
生活に絡めた『秋』を描いて、余韻を残す結末に向かっていきます。
季節風シリーズの最終ピース。
『秋』の余韻を、じっくり味わってみてください。