物事をいろんな面から見るということはとても大切なことだと思う。正しいことも、ある面から見れば正しくないかもしれない。その中に自分の判断基準をどこに置くかが個性だ。多面から物事を見るということは、他人の視点で見ることにもつながり、それで周五郎の小説はしぜん、あたたかみを感じるのだろう。この小説は様々な人生を多面でカットしたダイヤのようにきらきらしているように、私にはみえる。
開高健の解説より・・「季節のない街は解説を必要とする作品ではありません。こころ滅びる夜にゆっくりと読まるべきものの一つですが、文章の背後のそれほど遠くない場所につつましくかくされたものを読みとる静かな眼、この世のにがさに多少なりとも訓練を受けたことのある人なら誰にでもわかる!作品と思えます。」さすが、美しい解説文でございます!でも「こころ滅びる夜」なんて、こんな荒れた現代にはぴったりかもしれない。