絵がアレだし値段も高めに思われるかもしれないが、内容はちゃんと『存在論的、郵便的』における重要なエッセンスを忠実に取り出し、分かりやすく解説されている。
原著を読んでる人は復習・再確認として、まだ読んでない人は予習・入門、あるいは読んだつもりになるためのリーダーとして利用されるとよいと思われる。
原著では「エクリチュール(文字)」というジャック・デリダの概念が重要視される。本書がこのような形で「イメージ(絵)」でも「シンボル(言語)」でもない「キャラクター」を用いた「マンガ」というメディアで描かれたことには何か重要な意味が込められているかもしれないし、別に作者はそんなことあまり考えてないかもしれない。
余談になるが、僕が哲学とか現代思想に興味をもったきっかけもマンガを通して、であった。あれはたしか『空想哲学読本』とかいう本だった。あとアインシュタインも小学校のときに親にマンガの入門本を買ってもらってたし、高校のときはラカンについて知りたかったが文字だけの入門書を読める気がしなくてマンガの解説書を自分で買った。
「マンガ」というメディアは内容に関わらず敷居を低くする効果があると思う。「現代思想」なんて言ってみれば誰でも分かるようなことを小難しく書いてるだけ、と言ったら怒られるかもしれないが、そういう面もあることは確かで、実際こうやってマンガを通した方が伝わることがあるのだから否定はできない。
そういう意味でもこういうマンガでの『存在論的、郵便的』の解説書が出たのは喜ばしいことだ。これがきっかけでもっと多くの人に原著の思想が郵送されることを祈る。
そういえば本書の表紙には作者の名前が載っていない、表紙だけ見ると東浩紀の本と勘違いされそうだ。デリダは名前に関係なく思想が流通することを目指していたと聞いたことがあるが本書の表紙はその実践だろうか。