思春期の頃この映画のポスターを見て、エロに興味はあるけどこういう露骨なのは趣味じゃないなあ、と感じたものでした。
最近になって旧共産圏の映画に興味を持ち始めたので、恐る恐る観てみたら、「そういう」映画じゃ全然なかった!
とにかく女好きな脳外科医トマシュと、彼とふとしたことから結婚に至る素朴な女性テレーザ、そしてトマシュのセックスフレンドのサビナの3人の物語。
時代はソ連軍のプラハ介入の前後。
一人の女性だけを愛しきれないトマシュは男の象徴、そして奔放なサビナと一途なテレーザは女の両極端な性質の象徴に思える。
男の性質は一つしかない、というところがミソだ。
西側と東側の文化が理想的に交じり合い、自由を謳歌していたチェコ。
これすなわち主人公3人の人生の謳歌にも重なっている。
突如踏みしだかれるその自由。
自らの信ずる芸術とその自由を求め国外に脱出するサビナ、一度は出国したものの、再び帰国し、どんどん社会主義の悪しき面に追い詰められてゆくトマシュとテレーザ。
彼ら夫婦が苦しみながら辿り着いた先は、かつてトマシュが楽しんでいた「背徳」と「刺激」とは程遠い、静かな愛と平和の世界だった。
ラストで「良かったなあ」と思えて仕方がないのは、彼らにとって究極の平穏の世界だからなのだろう。
そこにしか社会主義から逃れる術はないのだ、という原作者クンデラの強烈なメッセージなのかもしれない。