「子連れ狼」というと、凡人はすぐ萬屋錦之助版を連想するが、最初に映像化され、なおかつ最高にしてオンリーワンともいえる傑作シリーズは、この若山富三郎版。
ロジャー・コーマンがこの作品を見て衝撃を受け「Shogun Asassin」というタイトルでシリーズを再編集してアメリカ公開、スプラッター映画の誕生に大きな影響を与えた事は一部のマニア達の間で伝説となっている。特にこの第2作「三途の川の乳母車」は、ファンの間で最高傑作の誉れ高い。
見せ場に関しては、他のレビュアーの方々が熱く語っておられるので、そちらをぜひご参考に。ただ、惜しむらくはなぜか全作品の中で唯一、この第2作だけが編集が甘く、アクションシーンの演出の凄まじさに反して今ひとつカッティングがゆるい。これはおそらく、監督の三隅研次が同じ年に4〜5本の映画を撮影していて(子連れ狼3作&御用牙)編集のチェックをする暇がなかったからではないかと思われる(もったいない!)。それにしても1年にこの本数を撮って、しかもこの演出クオリティーを保っているのは、超人としか言いようがない!
海外で高く評価されている本作は、多くの映画人にも多大な影響を与えている。ウォン・カーウァイの「楽園の瑕」は、「三途の川〜」をまんまパクッたとしか言いようのないセリフやシーンが満載。
また、ジム・ジャームッシュの「ゴースト・ドッグ」も子連れ狼へのリスペクトが全編に溢れる映画だ。フォレスト・ウィテカーがCDをカーステレオに入れる時にクルッと回転させる動きは、どう見ても若山富三郎が刀を鞘に収める時の動きを意識しているとしか思えない。
そして「ガンダム」のジェットストリーム・アタックは、明らかに裏柳生の技をパクッたものだ(もっとも原作の劇画の方の影響かもしれないが)。
娯楽映画史においてこれほど重要な作品が、なぜか本国日本では一部の熱狂的マニアを除いてほとんど黙殺状態。(子連れ=萬屋という一般のイメージがそのいい例)DVD化遅すぎますよ!と叫びつつも、これを機に一人でも多くのファンが増え、日本映画の新たなカンフル剤になることを望みます。TVドラマを劇場(コヤ)に掛けて“映画”とかのたまっている連中に喝を!
しかし、ニューマスター版はさすがに映像が美しい。ビデオ版も決して画質は悪くなかったが、夜のシーンが暗くて何が映っているかわからない所も多々あったので、結局DVDで買い直し・・・嗚呼、嬉しいんだか悔しいんだか!!とにかく、未見の方は迷わず買い&是非とも「子連れ」廃人になることをオススメします。