犬を飼うと家庭にはそれまではなかった、いろいろな不都合が生まれます。家族全員での旅行にいけなくなる(我が家のピレネーのような大型犬では特に)、家具や食器が予期せぬ破壊行為に遭遇する(新品や高価なものが狙われやすい)、人のベッドにあがってきて安眠を妨害する(翌日はゴルフで早起きという晩に限って)などなどです。
それがこの本の作者の清野さんとそのパートナーのお宅にはなんと最高7匹のワン君が同居していたのですから、えらいことです。パトカーが何台も来てしまうような大騒ぎがあったり、ワン君と清野さんたちとの猛烈ににぎやかで、すさまじいばかりに無茶苦茶で、でもなんともホノボノとした日常が語られています。
犬をしかると「大変なことをしてしまって本当に申し訳ない」とばかりがっくりと首をうなだれ殊勝な様子で尻尾を落とす、それもこちらがコワイ顔をしているつかの間でといった記述が本文にありますが、全くその通りで彼ら、彼女達は人間の機嫌や感情を鋭く観察し、人同士の会話にも聞き耳をたてているのです。我が家の愛犬も私と家人との会話の60%は理解できているとおもいます。(私の奥様は私のいうことの25%は理解してくれず、25%は無視しますのでコミュニケーション度はやっと50%くらいです)
犬には人間がとうの昔に失ってしまった誠実とか健気さ、いたわりがしっかりDNAとして保持されていると思います。なかでもあの瞳、人を疑わない、心からの信頼をただよわせて穏やかで、時には言葉を語れないもどかしさに静かに耐えているようなあの瞳にみつめられると、こちらまで洗い清められるような気がすることがあります。
スソアキコさんのイラストが大変に素晴らしく、この本を読むもうひとつの楽しみを味あわせてくれます。(ロングバージョンのレビューは http://shonan.qlep.com/のレジャー→エンタメでどうぞ)