思いのほか面白い本だ。あのGKの本なのでもちろん暴露本なわけはないのだが、さりとて表のストーリーに依拠した内輪の話に終始するのでもない。1990年代以降の新日本プロレスがどういうダイナミズムで動いてきたのか、そしてある意味で「新日神話」を崩壊に導いたともいえる格闘技へのベクトルがどのような思惑のもとに生まれたのかが、当事者たち(とくにレスラー)の肉声満載で実に上手く書けている。永田、中西ほかアマレスベースの選手の格闘技戦での闘いぶりには大いに失望した記憶があるが、この本を読めばなぜ彼らがそんな闘いに足を踏み入れざるを入れなかったのかもよくわかる。だから本書のタイトルは「子殺し」なのだ。