改訂前のこの本を持っていますが、前書きが興味深いのでご紹介します。
「(前略)実際に子宮筋腫に関する研究を始めてみますと、本当に訳のわからない腫瘍だということを身にしみて感じることになりました。がんのような悪性腫瘍と違って良性腫瘍である子宮筋腫は、子宮の筋肉とあまり違いがないために研究の糸口がつかみにくいものでした。また、良性腫瘍の研究をすることはなにか気恥ずかしいものがあり、先輩方に「まさか筋腫を手術しないで治そうとい研究をしようとしてるんではないだろうな」などと言われますと、「まあ、そう思っておいてください」などと答えて細々と研究を続けていました。心の中では、良性腫瘍を知ることは、悪性腫瘍の研究に必ずつながってくるはずだという思いがあり、少しずつ子宮筋腫に関する研究を積み重ねてきました。そして、一方で婦人科の悪性腫瘍の研究の糸口も見えるようになり、これに関する研究も同時に進めてきました。こうした経過から、今回この本を書くことになったのであろうと考えています(後略)」
この前書きを書いた藤井先生は、このような研究を積み重ねて今年、国際婦人科がん学会の理事長に就任されました。詳細な解剖学的知識からほとんど出血しない(輸血をしない)手術をすることでも有名な先生で、この本でも、子宮とはどういうものか、子宮筋腫とはなにか、実際の診察は、治療方法は、手術はどうなのかということを、素人でもわかるように、でも詳しく、図解しながら説明されています。
子宮筋腫という病気に対する知識を得たいとき、ほぼ全般的に網羅して教えてくれる得難い本だと思います。