子不語」、すなわち「子は語らず」とは論語の「子は怪力乱神を語らず」から来ている。
一般に、「怪力乱神」とは怪異・勇力・悖乱(はいらん)・鬼神の意から理性では説明できないような不思議な存在や現象をいうとされているが、怪しい力と邪悪な神と思った方が理解しやすいのではないかと思う。孔子は、不思議な力はとか正しくない神、つまり怪奇なことには一切言及しなかった、ということである。ところが、著者は、そう言いながら、あえてこの書物に怪談奇談を蒐集して世に出そうというのである。内容はその当時、中国の民間に伝わっていた怪談奇談ばかりである。
怪談と言っても、今はやりのおどろおどろしい物語はなく、さらっとしているのは他国の話のせいだろうか。あるいは訳文のせいだろうか。後味の悪い話はない。どこから読み始めてもよい短編集である。