まず読みにくい。
各章ごとに視点が入れ替わるのだが、基本モノローグで進められる物語であるのに、その節々に――注釈――が入るためとにかく腰を折られテンポが悪い。
モノローグなんだから改行して、改めて状況説明すれば良いんじゃないの?というしょうもない内容――ゴミ箱の見た目であったり、弁当の内容であったりを詳しく解説する――が目立つ。
視点が切り替わることも読みにくさの一つとなっているがミステリーではよくあることだし、それでも平行した時間帯描写が無いため一人称視点作品と同じような感覚で読めるのは評価したい。
でも、この視点の入れ替えがとにかく卑怯で無意味。
要するに解答を見出せない人物をでっち上げ、その人物の視点とする事により物語を大きく膨らませたいと言うのがミエミエで、逆に薄っぺらな内容となっている。
とりあえず、作品としては読みにくいだけで面白みが無いわけではない。
とは言え、これがスニーカー大賞作品だと思って読むと、読みにくい上に拍子抜けする可能性も考えられる。
補足しておくが、この作品における最大のミステリーは別の部分にある。
この作品の主戦場でもある会議室の会話――議題のほかにも、休憩中の雑談も含む――が隣の倉庫に筒抜けであるにもかかわらず、倉庫での会話が隣の会議室に一切伝わらない事が一番のミステリーと言える。