本書は、小学校教諭として30年弱のキャリアをお持ちで、マスコミにもその教育
手法が取り上げられたことがある著者が、ご自身のクラスで毎日実践されている
「クラスを動かす秘訣」を42項目にまとめて示したものである。
本書は4章構成になっていて、1章ではあいさつや返事や姿勢といった、子ども
集団に基本を教える技について10項目、2章ではスピードを意識させた学級経営
の技について10項目、3章では自ら動く、褒める、長所を認めるといった子ども
の心をつかむ技について12項目、4章では子どもに愛情で満たして良い所を褒め
るといった子どもが素直になる技について10項目がまとめられている。
いずれも、各項目が見開き2ページでイラストも伴いながら非常に読みやすくま
とめられているため、肩の力を抜きながら気軽に読める本である。
本書の特長としては、本書で紹介されている技は、著者が長年ご自身の教育経験
から導いてきた実践力のあるものばかりであるため、すぐに活かせるということ
である。また、これらの技の根底に共通して流れているのは、子どもをありのまま
受容し、すぐに結果を求めず、子どものペースで成長し変化していくのを待つ、
という著者の子どもを見つめる温かい眼差しであり、著者の温かみを感じる、教育
書らしい本になっているのも本書の特長だろう。
ただ、やはり本書の具体的実践例は、小学生には適したものであろうが、中学生
や高校生には実践しにくいものも少なくない。
本書のような実践的な教育書は、多くの教師に勇気や希望を与え、日本の教育力
向上にもつながる、非常に意義が大きいものだと感じる。その点を考えれば、もち
ろん教育的な思想や態度というのは、生徒の年齢を問わず共通するものであろう
が、今後はもう少し上の年齢の学級経営に関する実践的な本が出版されていく
ことを期待したい。