子育て中の親、特に「子育て、ちょっとしんどいなあ」と感じている親は必読。読めばきっと心が軽くなるだろう。
本書は、医師であり臨床心理士(要するにカウンセラー)でもある田中さんが、カウンセリングや自らの子育てで得た経験・知見を元に、子育ての方法を語った本である。とはいえ、巷に溢れているようなHow to本とはまったく違う。本書は「子どもに対する姿勢」が書かれた本なのだ。
本書の子育て法を要約すると、以下のようになる。
・子どもが「生きていくことが楽しい」と思えるように育つよりも大事なことはない。
・そのように育つには、リラックスできる場所が必要である。通常は、家庭がリラックスできる場所でなければならない。
・したがって、家庭での厳しいしつけなどは必要なく、むしろ甘やかせるだけ甘やかせてよい。
・子どもはもともと「よくなろう」とする生き物なので、「よくなりなさい」という小言はもちろん、「よくなるように導く」ことも不要である。
てなところだろうか。
このようにまとめてしまうと「そんな放任主義で、まともな大人に育つわけがない」と言いたくなるだろう。しかし、そのように思う人にこそ本書を読んでほしい。
何を隠そう、私こそ「放任主義など怪しからん」という人間の代表選手である。「おもちゃを買えと泣いてねだったり、ご飯はいらんオヤツがいいとごねたり、そんな子にだけは育てたくない」と私は思っている。そんな私が「読んでよかった」と思うのだから、私と同じように、子どもにはある程度(もしくはそれ以上に)厳しく接している人にはぜひ読んでみてほしいと思う。
本書を読み終えるには、かなり時間がかかった。なぜって、読んでいてつらいのだ。私にはもうすぐ4歳の娘と、1歳半の息子がいるのだが「厳しくしてすまんかったねえ」という気持ちになる。いい子になってほしいと思うあまり、やりたいことを制限したり、やりたくないことをやらせたりしていたのではないかと、思い返すところが多々あった。
私は、基本的に「アメとムチ」で子育てしている(してしまっている)。「晩ご飯を残すような子は、明日のオヤツはナシやなあ」「外に遊びに行きたかったら、まず後片付けをしようか」「いい子にしてたら、遊園地に連れて行ってあげようか」等々である。
しかし、そのように「条件」をつけた子育てでよいのか、ご褒美がなければ何もしない子になってしまわないか、そんな不安はあった。そういうタイミングで本書に出会い、つらい思いをすると同時に、もっと子どものやりたいようにやらせてよいのだと、心が軽くなった。
とはいえ、私にはまだ田中さんほど開き直ることはできないし、田中さんの方法にケチをつけたくなる部分もある。しかし、それを差し引いても十分に本書を読む価値はあった。
最後にもう一度書いておきたい。「子育て、ちょっとしんどいなあ」と感じている親は必読。読めばきっと心が軽くなるだろう。