認知療法を利用した怒りのマネージメント手法は、おそらくもっとも成功している「キレ」対策であり、実用的な方法である。日本語の「こどもをキレさせないために」という本が、「あたたかいこころでこどもと向き合え」とか「こどものこころを理解しろ」とか、現実的にはまったく役に立たない助言しかかれていないかったり、著者の持論の展開(しかも実証的な証拠はない見解)が書かれているだけなのに比べれば、怒りのマネージメント手法は、はるかに現場で役に立つ。この本は、その怒りのマネージメント手法について書かれているのであるが、一言で言えば、「怒りのマネージメントについての、もっといい本はたくさんあるのに、なぜ、この本を訳したんだろう」という印象を受けた。たぶん、訳者も訳している途中でそのことに気づき、所々に「訳者コメント」を入れているのだろう。理論的側面でも、精神分析などの見解が出てきたり、たぶん、アメリカではいまあまりはやらない(けど、日本でははやっている)自尊心が大切、みたいな見解が書かれていたりして、中途半端である。読み終わってもすっきりしないことは多いと思う。でも、少なくともこの種の本に目をつけたという点では評価できる。