この本は、「子どもにとっての言語の習得は、乳児に対して遺伝的に組み込まれた知覚機構を基盤として、身体全体を巻き込んでなされる営みである」と主張していますが、そのことが実に巧みな実証実験に基づいているのでとても説得性を持っています。
乳児に対して遺伝的に組み込まれた知覚機構は音楽の要素に深く関係し、言語の意味理解と使用が他者との身体を介した(発声、動作、表情など)関係によって可能になると述べられていますが、このことは、自身について内省してみてもナルホドと納得出来ます。
比較行動学者である著者の手法は、この本において、言語に対する理解を深めるだけではなく、科学の対象としてのヒトの理解と哲学的対象としての人間の理解の谷間を少し埋めていくものではないかとも思います。