「子どもの貧困」問題は日本では長く忘れられてきた存在だった。それを世に問い直した画期的な書である。
世界的に見れば、「子どもの貧困」問題は各国が政治的に取り組むべき課題として位置づけられているのに、日本ではそれがなされなかったのは、この本の著者たちが云うように、子どもに対する家族の責任が過度に強調されすぎてきたからであろう。「家族依存体質」と呼んでいる。結局、社会福祉が援助するのは、家族が生活の質をぎりぎりまで落としてはじめて手を差し伸べるという「劣等処遇」の原則を貫いてきた。
こうした状況に対して、著者たちは、子ども個人を単位とした援助に切り替え、子どもの奪われた権利を補充するために、きちんとした補てんをすることが必要であるという。
具体的な施策としては、児童福祉、保育、保健、生活保護、就学援助、労働政策の転換、経済支援などのかなり幅広い、包括的な援助が提起されている。特に、世界一低い、最低賃金の改善や、労働時間の短縮が緊急なテーマとなる気がした。
児童相談所や婦人保護施設、少年院、児童養護施設、学校現場などを貧困という観点から振り返っている各章も非常に質の高い出来になっている。子どもたちの今を考える上で、必読の書である。