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子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)
 
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子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書) [新書]

阿部 彩
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (22件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 861 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

健康、学力、そして将来…。大人になっても続く、人生のスタートラインにおける「不利」。OECD諸国の中で第二位という日本の貧困の現実を前に、子どもの貧困の定義、測定方法、そして、さまざまな「不利」と貧困の関係を、豊富なデータをもとに検証する。貧困の世代間連鎖を断つために本当に必要な「子ども対策」とは何か。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

阿部 彩
マサチューセッツ工科大学卒業。タフツ大学フレッチャー法律外交大学院修士号・博士号取得。国際連合、海外経済協力基金を経て、1999年より、国立社会保障、人口問題研究所国際関係部第2室長に就任。厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査検討会」委員、内閣府男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会「生活困難を抱える男女に関する検討会」メンバーなどを務める。『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、2008年)にて第51回日経・経済図書文化賞を受賞。研究テーマは、貧困、社会的排除、社会保障、公的扶助(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 256ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2008/11/20)
  • ISBN-10: 4004311578
  • ISBN-13: 978-4004311577
  • 発売日: 2008/11/20
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (22件のカスタマーレビュー)
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96 人中、91人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By picander トップ500レビュアー
形式:新書
ほとんどの日本人は、これまで
「アメリカに比べると、日本は高い税金が弱者にまわっているから子どもや弱者にやさしい社会のはず」
と漠然と思ってきたはずだ。
本書でその認識が間違いであったと示された(表3-3)。
日本の低所得者は米、仏、独、英等に比べて多くの税・社会保障負担を強いられている。
つまり、日本で貧困から抜け出すことは、他の先進国よりも難しい。

豊富なデータで、日本の子どもと子育てが、他の先進諸国に比べて劣悪な環境下でなされていることが立証される。
特筆すべきは政府の「逆機能」。税制や社会保障制度で、子どもの貧困率は改善ではなく悪化している(図3-4)。冷静な著者もここで「!」マークをつけて訴えるほど、驚くべき政治システムである。再配分は政治の根幹にある機能ではなかったのか。

本書で問題の所在は様々な角度から見事に検証されたが、読者はそのぶん疑問も増えるだろう。
本書にあるような目に見えるデータは以前からあったし、政府は知りえる立場であったにも関わらず、なぜ子ども・子育てへの支援は今なおここまで少ないのか?
そして、それを解決する制度をデザインするのは、厚労省?文部省?地方自治体?少子化担当大臣?
疑問は残るが、国民が薄々知っているのは、誰も解決してくれないだろうということ。
ならば私たちの税金は何に使われているのか?
子どもの教育よりも優先順位の高い公共事業がどれだけ日本にあるのだろうか?
それを誰が教えてくれるのか?

子どもには選挙権がない。子育てに奔走しているシングルマザーも選挙に行く暇はないだろう。つまり子どもとシングルマザーの貧困家庭は政治勢力たりえていないから、問題は棚上げされているのか?
明治以降日本が先進国の仲間入りをしたのはひとえに国民全体の教育水準の高さと勤勉さによる。
その蓄積を足蹴にする小さな不作為の堆積が、最終的に誰を犠牲にして何を失っているのか、政府も有権者も再考しなければいけない。
このレビューは参考になりましたか?
21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
子ども自身が貧困ではなく、子どものいる家庭が貧困に陥っているということだが、昔のように貧困家庭に育っても社会的に成功するチャンスがわれわれの親の世代程多くなく、むしろ貧困家庭に育つ→高等教育を受けるチャンスが激減→就職で不利に→自身が貧困層から抜け出すことができない、と貧困層が固定化してしまう傾向が強まりつつあるようだ。

 だれもすき好んで貧困になりたいとは思わないはずだが、貧困層が増加することで本人が苦しむのみならず、貧困がさらなる悲劇や苦痛をもたらすこともあるだろう。もっと言えば社会が不安定になることにもつながるかもしれない。その意味では「本人の責任」といって放置することはできないのである。

 その上、ショックだったのは、子どもの貧困率を家族給付や減税等による再配分の前後で比較したグラフ(p96)だ。OECD18カ国中、日本だけが再配分後の方が貧困率が増加している。社会保障制度や税制度によって日本の子どもの貧困率は悪化している!こんな国はない。

 なぜ日本だけこのようにお粗末な状態になっているかは、終身雇用と年功序列により会社が社会保障の役目を果たしていたため国が制度を考えなくても良かったからだというのが筆者の分析である。

 今後少子高齢化がどんどん進む中、若い人の活力をより一層引き出せるような社会制度をつくっていかねばならないのに、今の日本はその逆を行っている。このままではジリ貧である。

 こんな日本の現状を何とかすべく11の提言を著者は行っている。またイギリスの貧困研究学者ピーター・タウンゼントが提唱する「相対的剥奪による生活水準の測定」という手法を紹介していて、このような数値指標を用いて為政者や国民の心に訴えないと政府支出を増やすための原動力にならないという意見には納得である。
 
こんなすごい本の著者は左翼系の論者か政治家かと思っていたら、国立社会保障・人口問題研究所の室長であるというところがまたまた驚きであった。先日の経済財政諮問会議においてはこの本でも提言されている「給付付き所得減税」が民間議員の意見として出されており、与党野党ともに検討することと聞いている。役人でもムーブメントをおこすことが可能ということである。見習いたい。
このレビューは参考になりましたか?
26 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Lehman Packer トップ1000レビュアー
形式:新書
 不謹慎とは思うが最初に書いておく。結構面白いです。
 ばか笑いする内容ではないが、好奇心は刺激されます。
 例えばアメリカにおける「親の収入と子供の学力の関係」を調べる方法が紹介されてる。同一地区から無作為に選んだ二つのグループの片一方にのみ数年間援助しその後の学力の違いを見る。その結果、他の条件が全て同じでもお金で成績は変わるという結果が出てくる。
 評者は結果の意外性や研究者の実験アイデア、アメリカの自由な研究文化に驚き、面白いと感じました。

 著者は研究者であり、本書には人目を引く派手な逸話が並んでいるわけではない。母子家庭のアンケート結果は胸が詰まる内容だが、それくらいです。総じてデータの裏付けのある事実を述べている。
 それだけに著者の主張は重く受け止めるべきです。
 特に社会保障の逆進性による貧困率の上昇や、母子家庭の低賃金過重労働や、日本社会の貧困児童に対する冷淡さは、普通の日本人が抱いている日本のイメージとは大きく異なる。実態を世間に伝え、民意を形成していく事が必要と思う。

 本書の前半では親の貧困が子供の将来に渡って生活や能力に悪影響を与えており、豊かになった日本でも珍しくないことを記している。これは、自由競争の倫理的正当性を担保する機会の平等が達成されてない事を意味していると思う。
 また、子供達が十分に能力を発揮するためには、給食費や遠足費も含めた教育関連費用全般の無料化による就学機会の確保と、親が子供の面倒をみる余裕を得るだけの家庭への支援が重要だと述べている。

 元々人的資源しかない日本で、子供達は最も重要な財産である。少子化の進む中、彼らの能力を最大限に生かす方策は、経済合理性からも正しい政策であろう。
 弱者に過度に同情的なのは感情論だが、合理性のない冷淡さも感情論だ。
 日本の将来や子供達の将来より、親の自助努力不足に対する酬いを優先させたいのなら、その人はただの感情的で偏屈な、良心の吝嗇家だと思う。
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