日米比較のみならず、日本をOECD加盟各国と比べ、社会保障費にかける公的援助の少なさからなる貧困率の高さを比較し、貧困家庭での虐待、学力・情緒にかかる影響、その子どもの成人後の所得状況との相関関係などを、現場でのケースと共に統計で示しており、近年やっと日本でも眼が向けられるようになった“子どもの貧困”解説書としては、新書を超えた内容となっている。
ノーベル賞経済学者ソローの試算によると、子ども時代に1年間貧困状態にあると、約¥150万生涯賃金は減額する。
生涯賃金は、生産性の低下と等価との仮説があることから、直接的な生産性の低下だけでもそれだけの社会的影響が見られる。
そこに補習授業、予防できたはずの病気の治療、社会福祉コストなども加わることになり、初期コストの何倍もの負担を、将来社会で負わねばならなくなる。
社会的な剥奪や排除に晒され、税の負担が必要なタックスイーター層を増やす結果となる子どもの貧困を、社会的政策に遅れのある日本で、どう所得の再分配の形で救うのか?
様々な形のタックスイーターを差別する風潮があるが、貧困の再生産を早期に止めなければ、全体を揺るがす大問題に進展することを、本書から学ばなければならない。