村瀬先生の1978年から1994年までに書かれた論文を集めた本。
クライエントとの情緒的交流がとても治療的に働いているのがよく分かり、先生の臨床的センスに根付いた自然なアプローチが目に見えるような錯覚に陥ってしまう。
そのアプローチの仕方は従来から言われているような構造や枠を飛び越えて、縦横無尽に駆け回っている。ときにはクライエントの要請にしたがい電話番号を教えたり、直接家庭に出向いたりもしている。
僕のような立場からすると、中立性や禁欲原則に反するように見えるが、先生の臨床実践を見ていると、そのアプローチがクライエントにとてもフィットしているようにみえるから不思議である。
それはたぶん村瀬先生が内的枠をしっかりともっている分だけ、外的枠にそれほどこだわらなくても良いということかもしれない。だから、内的枠がまだしっかりとしていない僕や初心者が先生のアプローチを物真似してもうまくは行かないだろう。