タイトルからは想像しにくいが、本書の大きなテーマは「女性の子育てと労働」に関しての内容と考えたほうが良い。
「子供ができたら女性は仕事をやめて育児に専念するべきだ」。今の時代、ここまで赤裸々に叫ぶ人はいないだろうが、それでも社会的な見えない「母性を求める力」は日本特有に残っている。子供が生まれると、子供を中心にして家庭が動き出す。それは決して悪いことではないが、この場合育児に対する姿勢が問われることになる。仕事を続ける男性は、仕事場という別環境に触れることで社会的関係を維持、ストレスの解消にもなっているが、家庭という閉鎖空間でずっと変わることのない環境におかれ続ける専業主婦の「母性」が果たしてバリバリのキャリアウーマンの「母性」よりも優れているのだろうか? 押し付けられた育児ではなく、もっと大局的な視点で育児を考え直す必要があると筆者は主張する。近年、多くの企業で「(女性の)育児休暇」を設けるようになってきており、それが一つの「売り」になっているが、それは裏を返せば、「女性は子供ができたら家にいるべき」というメッセージの裏返しであり、労働力としての女性をひきつけるための企業戦略とも取れる、という筆者の議論は的を射ていると思われる。
全体的に読みやすく共感できる話が多いので、気楽に読破できる。しかしながら、途中途中で出てくるグラフやデータが極めて読みにくく、中には学術的意義が疑わしいものも含まれているため、その点を差し引いて今回は星4つの評価とした。