誤解のないように断っておくが、本書の筆者は男女共同参画に反対しているわけではない。(それは評者も同じである。)本書で筆者が主張していることは、「男女共同参画施策は、少子化対策には(たぶん)役に立たない」ということであり、本来それ自身で価値あるものであるはずの「男女共同参画施策」を、少子化対策の「手段」として用いることの危うさである。「男女共同参画は、それはそれとして推進されるべきことがらであり、仮にそれによって出生率が下がることがあったとしても、なお推進する価値がある」と筆者は言う。傾聴すべき正論である。世間に「通説」として通用している言説に対して異議申し立てをすることには勇気が要る。まして、男女共同参画施策を進めることで出生率の低下に歯止めをかけるというのは政府のいわば「公式見解」であったのだから。それでも「おかしいと思ったことはおかしいと言う」のが学問的良心というものなのだと感銘を受けた。