論理のアクロバットの見本を見せろ、と言われた時に自信を持ってお薦めできる本が登場した。
当初、本書の論調は「国がオタクに媚を売り始めた」という辺りから始まる。その辺りはまぁ、理解できないではない。ところがそこから筆者らの主張は「オタクは右傾化している」というものへとスライドし、ついにはオタクというオタクが韓国人を差別しているかのような妄言を吐き始める。そりゃ、「嫌韓流」なオタクだっていようが、そうでないやつもいよう。果たして筆者たちは何を根拠にそんな主張を……?
驚くなかれ、彼らの主張には根拠もソースも、一切提示されない。何の根拠もないままに、彼らはオタクを女性差別者だと断定し、黒人差別者だと決めつけ、障害者を差別しているとまで言い募る。最後のは辛うじて『ONE』という人気ギャルげーが「根拠」として挙げられているのだが、それも言いがかりとすら呼べないムチャクチャな論理のアクロバットであり、正直見ていて障害者を見下しているのは彼らであるとしか感じ取れない。
面白いことに、終盤になって彼らは、「結局、オタクの立脚してるメンタリティって一般人のメンタリティとまったくおなじで、僕はそこに憤りを感じるんですよ。(中略)そのメンタリティは一般人とまったく同じなんですよ」などと主張し出す。だったら『嫌一般人流』といった本でも出せばいいと思うのだが、彼らは何故かそうはしない。
結局、読後に残ったのはとにもかくにもオタクに難癖をつけずにはおれない、筆者たちの激しい憎悪のみ。オタクが市民権を得るに従ってこういった「有名税」も派生すると言うことなのか、それとも彼らの側におたくを憎悪せずにはおれない理由があるのか……。