江戸が大消費都市であることを芝居、相撲、寄席、見せ物、花見、寺社の開帳、富突、大食い、などのイベントを通じて紹介している。そのイベントの内容などは興味深くもあるが、これら娯楽的な催しを通じて、江戸時代の社会があまり見えてこない。その点は、たとえば杉浦日向子の著書などの他の江戸紹介本とは違う。それは、イベントは紹介して、いかに多大なるお金が消費されているかは論じられても、それらになぜ人が熱中してしまうのか、その点が見えてこないからであろう。これは個人的な意見になってしまうが、吉原を捉える視点が、買う側の男性視点である。女性側の視点が欠けており、この吉原が、ただの消費空間であるかのごとき筆致には私は白けてしまうのである。消費という表層的なところに注目したからかもしれないが、本書からみえる江戸が薄っぺらで軽く思える。当然、そうではないだろうから、これは筆者の力量の問題ではないかとも思われる。多くの江戸本の中では表層的で軽い印象を受ける。読後感は、時間を無駄にしたかな、というところである。