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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
汚濁で描かれる社会,
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レビュー対象商品: 姿なきテロリスト (単行本)
『グールド魚類画帖』もだが、この作家は汚濁というインクで人間社会を描くのがどうしてこうもうまいのだろう。主人公はストリッパーのドール。高価なブランド物で装うことで辛うじてプライドを保ちながら男たちの欲望に奉仕して金を稼ぎ、自分の家を手に入れてまっとうに暮らすことを夢見ている。だが、中東系の男(肌色の違う移民には反感を持っているのだが、容姿に惹かれて)と一夜を共にしたことからテロリストの片割れと疑われてしまう。唯一の親友が、人の性は善であり物事は良い方へ収束すると信じているのに反し、ドールは人間を決して信用せず(そうなるのも無理ない半生なのだ)、警察へ出頭しろと親友が勧めるのも聞かずに逃げ回る。『テロリストを一人でっち上げられたら、人々に悪魔を与えてやったってことになるんだから。連中は悪魔が大好きで、悪魔が必要で、それがあたしの仕事なのよ』というドールの直感はまったく正しく、政府やマスコミの思惑で、彼女はあっという間に立派なテロリストに仕立て上げられる。 そんな彼女が逃げ回る街では、ホームレスが若者から、『かつては共同体だった場所で、かつては社会だった国で、だれもが生き抜くはめになったこの汚れ澱んだ十年間に起きたあらゆることが、かつては一人の人間だった糞の詰まった袋のようなこの男のせいだというように』蹴られ続け、港のコンテナの中では密航してきた男たちが死んで腐って最後の一人が絶望的に壁を叩き、そんな反吐と汚泥のなかで人々はそれでも切なく愛を求めている。 偏見や不信や憎しみや欲望の渦巻く社会で生きる哀しい人間たちの姿をしっかりと描いた力作。サスペンスフルな筋立てで、ページターナー度も抜群!
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
恐怖という姿なきテロリスト,
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レビュー対象商品: 姿なきテロリスト (単行本)
姿がないのは、テロリストだけでなく悪意もです。テロという、見えない恐怖を利用して、支持率の上昇を目指す内閣、くすぶり人生の一発逆転狙うニュースキャスターをetc。 悪意にも似た思惑が、主人公を追い詰めます。 ドライブ感抜群です。
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