Amazon.co.jp
本書は、「MENU」「姫君」など5作品からなる短編集。いずれも、人を愛するということから生じる「聖なる残酷」を正面から見据えている。
中でも圧倒的な印象を残すのが、独特のバランスで保たれた2人の奇妙な同居生活を描いた表題作「姫君」。「世界のための」源氏名を持つ破天荒な姫子と、ミュージシャンを目指している人のよい摩周。2人の同居生活は、お互いに一線を越えないようにしようという暗黙の了解によって成り立っていた。おもしろいのはここでいう「一線」が、肉体関係のことではなく、もっと観念的な関係性での「一線」であること。だがその関係性も徐々に変化していく。必死に保っていたバランスが崩れ、そこから新しい関係が始まろうとしたときに2人を待ち受けていた思いがけない結末とは…。
そのほか、他者との複雑で微妙な人間関係を淡々と描きあげた「MENU」や、一風変わった語り手が特徴的な「フィエスタ」など、いずれも人間の関係性に焦点を絞った作品がそろっている。密度の濃い関係が、山田詠美独特の一見軽い口調で展開されていくのだが、内容自体は決して軽いものではない。これまで、肉体関係を中心とした即物的な作品を書く作家という印象を持っていた人は、そのイメージが一変するのではないだろうか。それほど、人と人との関係性が非常に観念的に捉えられており、人を愛することによって生じる、失うことへの恐怖のさまざまな変奏が、せつなく熱く胸に迫ってくる。
漫画家の真鍋昌平によるカバーイラストも、その都会的な雰囲気が内容にぴったりマッチしていて、ひとつの作品としての完成度をさらに高めている。(盛岡真美子) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
出版社/著者からの内容紹介
最高に贅沢な愛と死のシミュレーション!
自分が生と死の境目に立っていようとも、人は恋をする。人を愛することで初めて生じる恐怖、“聖なる残酷”を描いた傑作短篇集
自分が生と死の境目に立っていようとも、人は恋をする。人を愛することで初めて生じる恐怖、“聖なる残酷”を描いた傑作短篇集
内容(「BOOK」データベースより)
たとえ、自分が生と死の境に立っていようとも、人は恋をする。なぜなら…。傷を傷というふうにも表せない男女が魅かれあう姿を通して、人が人を求める気持ち、言葉にできない寂しさを描いた五篇を収録。人を愛することで初めて生ずる恐怖、“聖なる残酷”に彩られた、最高に贅沢な愛と死のシミュレーション。
内容(「MARC」データベースより)
自分が生と死の境目に立っていようとも、人は恋をする。人を愛することで初めて生じる恐怖、「聖なる残酷」を描いた愛と死のシミュレーション短編集。表題作ほか4編を収録。
--このテキストは、
単行本
版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山田 詠美
1959年東京生まれ。1985年、黒人男性との愛と破局を描いた「ベッドタイムアイズ」(文芸賞受賞)で衝撃的デビュー。1987年、「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で第97回直木賞、1991年、「トラッシュ」で女流文学賞、2001年、「A2Z(エイ・トゥ・ズィ)」で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1959年東京生まれ。1985年、黒人男性との愛と破局を描いた「ベッドタイムアイズ」(文芸賞受賞)で衝撃的デビュー。1987年、「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」で第97回直木賞、1991年、「トラッシュ」で女流文学賞、2001年、「A2Z(エイ・トゥ・ズィ)」で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)