中でも圧倒的な印象を残すのが、独特のバランスで保たれた2人の奇妙な同居生活を描いた表題作「姫君」。「世界のための」源氏名を持つ破天荒な姫子と、ミュージシャンを目指している人のよい摩周。2人の同居生活は、お互いに一線を越えないようにしようという暗黙の了解によって成り立っていた。おもしろいのはここでいう「一線」が、肉体関係のことではなく、もっと観念的な関係性での「一線」であること。だがその関係性も徐々に変化していく。必死に保っていたバランスが崩れ、そこから新しい関係が始まろうとしたときに2人を待ち受けていた思いがけない結末とは…。
そのほか、他者との複雑で微妙な人間関係を淡々と描きあげた「MENU」や、一風変わった語り手が特徴的な「フィエスタ」など、いずれも人間の関係性に焦点を絞った作品がそろっている。密度の濃い関係が、山田詠美独特の一見軽い口調で展開されていくのだが、内容自体は決して軽いものではない。これまで、肉体関係を中心とした即物的な作品を書く作家という印象を持っていた人は、そのイメージが一変するのではないだろうか。それほど、人と人との関係性が非常に観念的に捉えられており、人を愛することによって生じる、失うことへの恐怖のさまざまな変奏が、せつなく熱く胸に迫ってくる。
漫画家の真鍋昌平によるカバーイラストも、その都会的な雰囲気が内容にぴったりマッチしていて、ひとつの作品としての完成度をさらに高めている。(盛岡真美子)
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でも、期待し過ぎていた分の失望感かも知れません。
結末が多分そうなるだろうなと思っていた通りになり、少し寂しかった。
それは、この本に入っているもうひとつの作品もそうでした。
結末が似ていたような気がしました。
ある書評で、少女マンガのようだ、とされていましたが、私もそのように感じました。
少女マンガについて悪いものの例えとして使っているわけではありません。
少女マンガに非常に素晴らしい作品がたくさんあることも知っています。
ただ、その下地があって、この作品を読むと、結末が読めてしまうのです。それが残念なのです。
違う手法で表現しているのだから、違う着地を期待してしまいました。
期待していたことが外れてしまった分、星ひとつ減らしました。
しかし、それ以外は、山田詠美は素晴らしいと改めて感じさせられました。
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わかりやすい恋愛なんてひとつもないんだよ。
残酷で複雑、そんなもんだ。いつも山田詠美をよむと
日常では呼び覚まされなかったものがよみがえってきて
鼻の奥がツーンとするよ。
なんて言われると巷で流行の「純愛、死んだ恋人思い続ける」系かと思われますが、
まずそんなことはないです。... 続きを読む
死をもって愛を知るって、残酷だけど、美しい。... 続きを読む
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