姜尚中氏が自らの読書史のなかから重要な意味を持つ5冊を抜き出し、その青春史と重ね合わせながら、各著作の今日的意義を辿った一冊。(写真も多く、具体的なイメージが湧いてよい。)印象に残るのは、やはり「永野鉄男から姜尚中に変わること」を決意したくだりを語る第3章。文中、朴政権下の農村の古老が語った「ファッショだよ、この国は。日本人の時よりもひどい」(116頁)との言葉が印象的。なお、話は飛ぶが、「すべての近代政治学の概念は、神学概念の世俗化である」(139頁)とのカール・シュミットの一文は、最近の佐藤優氏の論壇における活躍とも呼応して、成る程と思わせるところあり。(後世のイデオロギー論争や政治闘争などは、基本的には古代・中世期における祭政一致及び神学論争などのコピーに過ぎず、後者は前者の原型ということか。)