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妻の超然 [単行本]

絲山 秋子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

結婚して十年。夫婦関係はとうに冷めていた。夫の浮気に気づいても理津子は超然としていられるはずだった(「妻の超然」)。九州男児なのに下戸の僕は、NPO活動を強要する酒好きの彼女に罵倒される(「下戸の超然」)。腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴。「文学の終焉」を予兆する凶悪な問題作(「作家の超然」)。三つの都市を舞台に「超然」とは何かを問う中編集。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

文学がなんであったとしても、化け物だったとしても、おまえは超然とするほかないではないか。「妻の超然」「下戸の超然」「作家の超然」を収録した異色の三部作。

登録情報

  • 単行本: 219ページ
  • 出版社: 新潮社 (2010/09)
  • ISBN-10: 4104669040
  • ISBN-13: 978-4104669042
  • 発売日: 2010/09
  • 商品パッケージの寸法: 19.6 x 12.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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カスタマーレビュー

最も参考になったカスタマーレビュー
13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By YKoon
形式:単行本
絲山さんの作品を女性が読むと、共感を覚えるのかもしれません。
絲山さんの作品を男性が読めば、グサリとくるセリフや表現があるでしょう。

本作は「超然」をめぐる3つの作品が収められています。
いろいろな立場で色々な視点があり、面白いです。

1)妻の超然
少々、捻くれてしまった50近い女性の心理と、無神経な夫の心理。
不倫をめぐる心理描写(というか脳内会話)も、生活をめぐる描写も一つ一つが巧いです。
この短編の「超然」という言葉の結末は予想外のカタルシスがあります。

2)下戸の超然
30前後の男女をめぐる話。
善悪をめぐる議論、いろいろと面倒な周辺の事情が面白いです。
この短編の「超然」で描かれる現代の青年の絶望に、男の読者は胸を抉られるでしょう。
あと、出てくる食べ物が美味しそうなのが印象的ですね。

3)作家の超然
病気の作家をめぐる話。「おまえ」という二人称で進みますが、絲山さん本人の心境が
投影されているようにも思われます。「生死」に関わる話をしつつも「超然」とした態度で
メディア批判をする作家というもの、これがこの短編のポイントの一つだと思います。

文士としての作家の在り方とは何か―この問いから作家は超然としていられるのか?
そして、最後の4ページに亘る告白ともいえる文章の意味は何なのか?

私は「文士」絲山秋子氏がどのような答えを出すのか、気楽な気持ちで待ち続けたいと思います。
このレビューは参考になりましたか?
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By TaroTaro トップ500レビュアー
形式:単行本
巧いと感じたのは「下戸の超然」。
だが、何度も繰り返し読んだのは「作家の超然」。何度も読んだ、というか読まずにはいられなかった。

一応小説の形をとっているが、これは完全に彼女の独白だ。

「作家の超然」には、彼女が持つとぼけたユーモアや毒のあるユーモアは存在しない。そこにあるのは、一人の作家が作家としての自分を振り返り、そして自分の立つべき場所を見詰める姿が、(彼女にしては直截な)言葉や文章で叩きつけられているだけだ。胸が詰まる想いがした。

二人称で書かれる「おまえ」は勿論、二番目の兄も、そして「おまえ」と語る第三者(文学の神様?)もすべて彼女自身を指しているのだと感じた。

彼女の小説は主人公や登場人物に自身の姿をある程度重ねる自己投影型だが、あくまでそれは小説の題材として投影させていたに過ぎない。また、自己投影型と書いたが、出来上がる作品には、それを冷静に見詰めるもう一人の絲山秋子の視点が感じられるので、正確には自己投影型とはいえないのかもしれない。
しかし、この作品に投影されているのは作家・絲山秋子そのものだ。

当然、彼女も作家としての自分を振り返ることはあるだろうし、これからの自分を考えることもあるだろう。しかし、いままで、そのような気持ちをまともに作品にするという気持ちがあったとは思えない。自身をあからさまに語ることを厭う作家だと思っていた。

それは間違いだったのだろうか。それとも、彼女の中で何かが起きたのだろうか・・・。
単なる勢いだったのだろうか。もし、仮にそうだとしたら発表した後で後悔しているような気もする・・・。

*何度読んでも意図が理解できなかった部分があった。新聞社を批判するくだりだ。もちろん書いてあることはわかるし、批判の後に書かれる文章との繋がりも不自然ではない。しかし、どうしてもこのくだりに異質なものを感じると同時に唐突なものを感じてしまう。他の方はこの部分をどう読み取ったのだろうか、とても気になるところだ。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 香桑 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
常日頃に漫然と感じていることを、すぱんと言い当てるように言語化された文章に出会うときに、この作家はすごいと思う。さすがだと思う。

三人称で書かれた「妻の超然」、一人称で書かれた「下戸の超然」、二人称で書かれた「作家の超然」。
それぞれに、ぐいとひきつけられる文章があり、「作家の超然」の主人公が、ある小説の登場人物に自分を見出すように、私もこの小説群の主人公達に自分を見出した。

1人で老いていくということ。やがて死ぬということ。
そこかしこに、一文ではなく、物語に自分が見出されていく。
そこに、読者として、文学の力を見出したい。小説の力を信じている。
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5つ星のうち 5.0 「その全てを見ていたいと思う」
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