多摩に建つ円筒形という変わった形の建物の聖バード病院。人が死ぬ時、ギリシャ神話の妖鳥ハルピュイアが飛ぶという噂のある病院で、次々と起こる不可思議で無残な事件。入院している同僚刑事の見舞いに来た刈屋は、排他的で妖しい病院の雰囲気に戸惑いながらも、事件を調べはじめるのだが・・・。
文庫本で700ページ近い長編ですが、読み始めたら山田正紀の描く妖しさおどろおどろしさに魅せられもう夢中、その分厚さも苦にならない、どころかもっともっと読んでいたいとページをめくる手が止まりません。
何よりミステリとしてのできが素晴らしい。密室での殺人、死体消失、火の気の無いところで炎が燃え上がる謎の放火事件、追い詰めたと思ったらスルリと逃げてしまうまるで幻のような看護婦二人。そして妖鳥ハルピュイアのおぞましく不気味な影・・・。数多くの謎が複雑に絡み合い、そこで使われている大小様々なトリックの数々。ああ、ミステリだなぁ、ミステリを読んでいるなぁ、と実感しながら読み進めることができる楽しさといったら!ミステリ好きにはたまりません。
質・量ともに読み応えのある極上のミステリ。こんなにおもしろいミステリが品切れ状態が続いているとは。古本屋を探し回ってでも読む価値有り。