一見、特撮映画の傍系のように思われがちだが、ある「精神」の脈々と息づいた本流の大作。
宇宙の描写は、絵としては暗く冷たく、人間の存在を拒絶しているかのようだ。美的満足度は高い。
冒頭、ゴラスの引力圏に引きずり込まれた日本船隼号は、最後の時までゴラスのデータを
観測・打電し続ける。
予想外のアクシデントにうろたえる乗員に、「ドンチャン騒ぎでもして、死にたいか!」の
艦長の一喝、一同粛然として任務に戻り、全員死亡。「本艦の全ての任務は・・これで終了である」
、と艦長が告げると共に、日本船はゴラスに呑み込まれていく・・・。
大自然、大宇宙を前にしての、人間の小ささと偉大さ。それが、単なるヒロイズムや個人讃仰
ではなく、集団劇として描写されているのが特徴的だと思う。「人類のドラマ」であり、また
日本的情感のある作品だ。「滅亡」を前にしての群像劇であり、「人間の美しさ」のような
ものが、縦横に描かれていると思う。
この緊張感は最後まで持続する。全体に美術に優れた作品で、世界観としては(デザイン的にも)
アニメ「トップをねらえ」冒頭につながるのかも知れない。
科学技術への信頼感、全滅した先発隊の犠牲を、「人類が」引き受けて、危機に立ち向かっていく
など、雰囲気的にも近いものがある。
国際管理下の南極基地に現れる巨大爬虫類を駆逐するのは、日本の『科学特捜隊』のヴィートル号・・・にそっくりだが、ギミックは遙かに高度な戦闘連絡艇です。もちろんTV特撮的なチープさ
はない。
全体に、スペクタクルと言うよりも、精神的な姿勢が印象的な、隠れた傑作だと思います。