80年代から90年代初頭に描かれ、妖怪ハンターシリーズの中でも大きな塊をなす作品群がきれいにまとまって収録されています。
前巻「地の巻」がラブクラフト風味のホラーだとすると、続く「天の巻」は世界の原初の時に失われたモノを求める勇壮な物語、かもしれません。稗田はオデュッセウスからインディ・ジョーンズへとつらなる冒険者の系譜を継ぐ者、なのかな。
世界樹(ユグドラシル)をめぐる冒険譚…「花咲爺論序説」「幻の木」「川上より来たりて」「天孫降臨…第一章大樹伝説、第二章樹海にて、第三章若日子復活」。皿屋敷伝説が意外な大物へとつながる「黄泉からの声…第一章井戸のまわりで、第二章黄泉からの声」。映画「奇談」に一部引用された好編「天神さま」。いずれも充実しています。
とくに「花咲爺」から「天孫降臨」へとつながるエピソード群は読み応えたっぷりです。集英社文庫『暗黒神話』所収の「徐福伝説」と併せてお読みください。