このシリーズ、一人もレヴューを書いてないんですか。困りましたね。
実に豪華な企画です。プロの少女マンガ家85人にアンケートを取って、おすすめの少女マンガ短篇を精選し
テーマ別に割り振って全5巻にまとめたアンソロジーです。推薦者の描き下ろしコメントが作品ごとに付さ
れていて、「この作品に触発されてマンガ家を志した」みたいな生々しいエピソードが読めます。マンガ家
を志望する方々は収録作品ともどもぜひ読んで下さい。将来の作家活動で役に立つ養分を摂れるはずです。
名の通った長篇と違って、短篇マンガは単行本にまとめる時に扱いづらいので、埋もれてしまいがちです。
しかし! マンガの華は短篇にこそある!と私は考えています。「出来の良い短篇集は長篇数冊ぶんの読み
応えがある」という言葉もあります。このアンソロジーを読めば、少女マンガが今まで培ってきた豊かさや
奥深さ、そして歴史までも俯瞰することができます。決して大げさでなく、少女マンガのある国に生まれて
よかった、と本気で感謝したくなりました。私はいい年したオッサンですけどね。
何がすごいといって、出版社の垣根を取り払って編んであるのが一番すごい。これをやろうとすると大変な
目に遭います。おそらく講談社でなければやれなかったでしょう。よくやったと編集スタッフを褒めたい。
この5巻では曽祢まさこ「おむかえがくるよ」が一番のおすすめです。社会的ホラー作品とでも呼べば良い
のか、この一篇のためだけでも買う価値あり。それから萩尾望都「半神」は短篇マンガの精華。必読です。
書店の店頭を観察した限りで言えば、このシリーズはあまり売れていないみたいです。残念でなりません。
これが売れてくれないと、今後こういう優れた企画が実現しにくくなってしまいます。それでは出版社や作
家のためにならず、廻り廻って読者側の損になりかねません。1冊でも多く売れてほしいと願っています。
「そんなにすごい本ならAmazonにレヴュー書けば?」と広島の大谷君(仮名)が言ったので書きました。