落語家の川柳川柳(かわやなぎ・せんりゅう)唯一人の弟子で、しかも女性の川柳つくしが自らの二つ目としての落語家修行や先輩に人気落語家たちへのインタビューをまとめた本。
師匠の川柳は軍歌から戦後の歌謡曲までをメドレーでつづる「ガーコン」一席以外に、まず高座にはかけない人。つくしは新作落語をもっぱらやりたくて、この師匠ならなんの制約も課せられないと見込んで入門したそうですが、後にも先にも弟子はつくし一人。この師匠の酒癖の悪さは自身の著書でも披露しているほどで、「ひとり弟子」としては師匠のケアに相当苦労した様子がしのばれますが、もっぱら明るい笑い話にしてしまっているところはさすが落語家です。
落語、とりわけ古典落語は講談や浪曲と違い、男性の古い会話体で進められるため女性には難しいと言われているので、つくしが新作落語一筋でいこうとするのは当然かもしれません。この本のインタビュー相手も、新作落語の大御所的存在である三遊亭円丈をはじめ、春風亭昇太、三遊亭白鳥、柳家喬太郎など新作落語の人気者が勢ぞろいして、後輩落語家のつくしにリラックスした雰囲気で二つ目時代の思い出を中心にいろんなエピソードを披露してくれます。
つくしも二つ目昇進から丸十年。ほとんど年功序列だけで真打昇進が決まるのが最近の落語協会なので、よほどのことがない限り二つ目は間もなく卒業のはず。現役の二つ目が、二つ目のことを自ら書いた本としては大変貴重な存在です。