資産家の養女で月琴島に住む美女、大道寺智子が島を出て東京に来るのを阻止せんと舞い込む脅迫状、果たしてそれに呼応するかのように起こる連続殺人、そしてその背景には、19年前に島で起きた密室殺人があったという本書、横溝(金田一もの)の初読者にお勧めである。
横溝独特のおどろおどろしさ(例えば『犬神家の一族』や『悪魔の手毬唄』のような)は控えめで、また『獄門島』や『本陣殺人事件』のようなガチガチの本格ものでもないので読みやすく、ヒロイン・智子を中心に謎とサスペンスに富んで面白い。
逆に言うと横溝らしさが薄いので、先に挙げた『犬神家〜』や『獄門島』などのファンは、ちょっと物足りなく感じるかも知れない。
金田一ものベスト5(先に挙げた4作+『八つ墓村』)の次ぐらいに位置する作品である。