レビューの評判いいので一気に5巻まで通読してみました。うーん、要所要所が弱い。それも、この手の話で説得力の源になる軍略・謀略がすべての面で弱い。亜姫が黄国で民衆の支持を得るきっかけとなる戦の軍略も、「なんだそりゃ??」のレベルだし。一番辛いのは物語の原動力をすべて土妃(継母)の悪辣ぶりに集中させてしまっているところ。今のところ亜姫の目標は土妃を討って母の仇を取ることですが、よく考えると別に土妃が母を殺したわけではないし(正確には自殺)、話の流れからいって、仇討ちなら相手は実父(亜王)では??この物語で一番重要な、亜紀が土妃を恨む気持ちに共感がもてないのです。種々の整合性のなさからか、巻を追うごとに土妃の常軌を逸した残忍ぶりが描かれ、この巻ではとうとう青徹が土妃の手にかかります。が、なにしろ後付けっぽくて説得力がないんですね。毒婦一人が王を凌いで亜国の権力を掌握しているとしても、その過程の宮内政治は一切描かれてないし、それを可能にする外交的背景の詳細(土妃と土国のパイプライン)も不明。まああとで土妃を操る土国の黒幕がラスボス的に出てくるのかもしれませんが、今のところ土妃が何をやりたいのかも見えません。まだ隠されている、というより、単に作者の力量不足という感が否めず。このあたりの稚拙さは、似たテーマのファンタジー、「彩雲国物語」や「十二国記」なんかと比べると顕著です(原作なしの漫画であることを考えれば、これらとの比較はフェアではないのかもしれませんが…)。野心作とは思いますが、今のところちょっと苦しいなーという感じです。