狩猟の世界は、伝統的に男社会である。それは狩猟という行為が肉体的にもかなり厳しく、常に危険と隣り合わせであるからだ。そのような現場において、一人で熊を追い、猪を撃ち、鹿を解体する女性たちもいる。本書に登場するのは、30代から60代までの女猟師たち。その実態を綴ったルポルタージュだ。ベテランからビギナーまで、そこに至るまでの動機やその生活もさまざまである。
あらかじめ申しておくが、本書は万人の人におススメできる本ではない。なにしろ写真がグロい。鹿の皮を剥いでいるところ、皮を剥ぎきって脂身の量まではっきりわかる猪、仕留めたばかりのカモの内臓など、血の飛び交った写真が盛りだくさん。購入にあたっては、写真をよく確認されてから検討されるのが賢明だろう。
しかし、この写真から目を背けて、肉を食べることだけに専念するということが、果たして誠実な行為なのだろうかとも思う。彼女たちが日々突きつけられている葛藤も、この問題に端を発する。「なぜ野生動物を殺すのか」、この問いは狩猟者が必ず受ける質問であるという。しかし、ある女猟師ははっきりとこう言う。
「食肉用で飼育される豚や牛と、山の中を歩き回る猪や鹿。どちらも同じ命なんです。その命を頂くことで私たちは自分の命をつないでいる。肉を単なる栄養としかみなさないで、パック詰めの向うにある命に感謝の念も抱かない。自分の手で命を奪い、解体し、感謝して食べる猟師のほうが命の尊さを知っていると思います。」
銃をかまえて獲物を狙うシーン、仕留めた獲物を掲げるシーン、そのような記述を目にすると、登場人物が女性であることを強く意識させられる。しかし、本書に込められた猟師の慈しみの心が、より魅力的に映るのは、女性を通しているからこそという印象も受ける。
きれいごとだけで済まされないのが、世の常だ。そして、描かれているのはどこまでもリアルな猟師たちの現実。「肉を食うのも楽じゃない」、そんな台詞が思わず口から飛び出るような読後感だ。