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27 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
全く新しい女教皇像,
By 月水羽織 (兵庫県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 女教皇ヨハンナ (上) (単行本)
女教皇ヨハンナといえば、男装して修道院に入り修道士と駆け落ち。その後、彼と別れた後、運命の悪戯で教皇となりながら、側近の聖職者と再び道ならぬ恋に落ちて身ごもり、教皇行列の最中に出産してしまったため、女であると知れて殺された。というような伝説が一般的に知られています。塩野七生氏も「愛の年代記」でヨハンナについて書いておられますが、氏の書いたヨハンナはいざとなると自分を熱愛する恋人に愛想をつかして冷たく捨てて行ってしまう、賢くはあるけれど何処か薄情な印象でした。 しかし、この作品のヨハンナは作者のオリジナル色が非常に濃く、とても新鮮でした。女が教育を受けることなど許されなかった中世初期、賢い女は魔女と忌避され嫌悪された時代に、その知識欲や好奇心に忠実に生きることを選び、自分の意志を曲げず周囲の男性優位の世界に戦いを挑み、矛盾や不正を鋭く見抜いていくヨアンナの強く真っ直ぐな生き方はとても魅力的です。そして、彼女をただ一人支え、励ます青年貴族ゲロルドとの純愛も清らかで、とても美しいです。心から愛しているからこそ、容易には触れられない。これこそ究極の純愛の形でしょう。 私は今までヨハンナには何処か淫蕩さを秘めたイメージがあり、また本書の帯にもヴァチカンのタブーに挑む、と書かれてあったので読む前は、話題性を狙った俗っぽい内容で性描写も露骨なのでは、と思っていたのですがとんでもない。本書のヨハンナは社会に見捨てられた者、虐げられる弱者への愛を忘れない優しい少女であり、自分に正直に生きた一途で勇気ある乙女です。今どき珍しいほど、良質な歴史文学だと思います。混迷と陰惨を極めた中世初期という厳しい時代を生き抜いた人々の姿、喜怒哀楽が本当に生き生きと描かれています。
9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
暗黒の中世に夢と愛をもって道を切り開いた女性の物語,
By
レビュー対象商品: 女教皇ヨハンナ (上) (単行本)
実在したかどうか定説の無い女教皇をテーマとした前例の無い時代設置で展開するお話で一気に読ませます。人間への愛を求める女性が、運命の定めによりカソリックの最高位である法王にまで上り詰めるという物語です。時は、暗愚の支配する中世。知識欲に燃えるヨハンナにとってはキリスト教理しか勉学すべきものはありませんでした。しかも、女は不浄のものとされ、その道さえ閉ざされていたのです。多くの史実に基づき、物語にまとめ上げた著者の力量は見事。そのようなメインテーマを、ほのかな愛情や、異教を信じていた母への追慕といった横糸を紡いで、良質かつ知的なエンターテインメントに仕上げています。 これかからの秋の夜長に、上質のタペストリーを鑑賞するようにお楽しみ下さい。 著者の中世を題材とした続編が今から楽しみです。
16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
才女の野心と戦い,
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レビュー対象商品: 女教皇ヨハンナ (上) (単行本)
タロットカードの「女教皇」のモデルになったともされる、カトリック教会が長年に渡り否定しつつも今なお世界中で知られている女教皇ヨハンナの伝説を伝記風に描いた作品です。舞台は絶対的な男性優位で、女性にはほとんど教育の機会が与えられなかった時代のヨーロッパ。 この前編では、類い希なる知性と好奇心を持った少女ヨハンナが、女性が知識を得ようとすることを罪悪とみなす社会で、僅かな理解者の助けを得ながら必死で勉学に打ち込みます。しかし次第にそれも限界になり、もはや挫折するしかない状況に追い込まれた所で、ヨハンナはその後の人生を大きく変えることになる事件に遭います。 この小説は女教皇の伝説を題材にした作品であると同時に、自分の才能が世界でどれだけ通用するか挑戦した、一人の才能溢れる女性の物語であるとも言えるでしょう。
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