根岸吉太郎監督の日活ロマンポルノ作品で、性を媒介にしたシリアスな人間ドラマです。田中陽造の社会派的な視線を感じさせるシナリオが印象的。1981年制作。
都内の高校教師の倉田咲子(風祭ゆき)と、警察に補導された生徒の野本スエ子(太田あや子)。ふたりの奇妙な出会いと心の触れあいを描く。秋田の教育実習のときにレイプされた咲子の証言で、スエ子の父末吉(三谷昇)が犯人として逮捕され、野本一家は崩壊する。しかし、真犯人が後日検挙されたとスエ子に告げられ、咲子は罪の意識に駆られていく。
後半の展開がいきなりロードムービーに変わるところに意表を突かれた。ただ一時間強の上映時間に無理やり詰め込んだ窮屈さはある。それにしても、この結末はどうなんだろう?
風祭ゆきはあんまり器用なタイプではないけど、すてきな女優さんですね。冷ややかで端整な顔だち。すこし意地悪そうな翳りをただよわせる。メタルフレームのメガネは、知的女性の記号。メガネだけかけて全裸で室内を歩きまわる場面が、あの頃は新鮮な気がした。折れそうなほどの細身に薄い胸のふくらみ。太田あや子の演技も自然体でよかった。
独得なふるえ声のバイプレイヤー三谷昇も忘れがたい。左右の眼がいわゆるロンパリで、貧相な役がお得意。いつもながら個性の強い役柄です。
根岸吉太郎の才気は演出の端々にあらわれている。そんなに期待しないで観たら、決して悪くない出来だと思います。私は興味深く再見しました。