またしてもリクルート出身社長の、女性社員育成術。本書では女性社員を 「堅実キャリア」「天職ドリーム」「公私セパレート」「結婚ロマンス」 の4タイプに大別し、男性上司が女性部下をどう育成し、あるいは対処するべきかを示している。
かつて、会社という社会では一般に男性正社員がメインで女子社員はアシスタント的立場、ほとんどは結婚あるいは出産で退職していった。だが、現在は女子社員はキープレイヤーとして男性と同等あるいはそれ以上に戦力となっている。また、正社員だけではなく、契約・派遣といった雇用形態も多く、ひとくちに「女性社員」といってもそのモチベーションはさまざま。また、女子社員の台頭に慣れない男性社員が気を遣いすぎたり、逆に無神経な対応をしてしまい、職場の人間関係が悪化する例も数多い。
本書はそのような「困っている男性上司(その場合、女性部下も困っている可能性がある)」に対する指南書である。
女性社員は、男性部下とは思考法が全く違う。そもそも、男女の心理の違いは「男と女の間には…深くて暗い河がある(C)野坂昭如」とか「男は火星人、女は金星人」と云われるほど差が大きい。気を使って女性だけ点を甘くすると「男性に比べて差別されている」と感じる人もいる。相談を持ちかけているのは実は「解決法を聞いているのではなく、自分の話を聞いてほしいだけ」だったりする。独身女性が「子持ち女性社員が早退する分、自分にしわ寄せが来ている」と思っていても、自分がいざ出産すると「育休は当たり前の権利」と主張を変えることは珍しいことではない。会社にいるということは「出世したいんだろう」と抜擢しようとすると「そこまでは頑張る気はない」と拒否される。いずれも男性社員とは全く違う理解が必要である。
彗眼だと思ったのは「女子社員は短期的視野で考える」という点。「5年後のキャリアを考えろと言っても…結婚、出産しているかも。今は相手がいませんが(笑)」とか。また男性が「組織軸」で考える傾向が強いのに対し「自分軸」で考える傾向が強い。この仕事は会社のためになるか、というより自分のキャリアになるか、あるいは自分の個性が発揮できるか、という方に目が行きがちだ。
恐らく(日本の)社会が過渡期ということなのであろう。会社の中で女性が占める割合が多くなれば、わずらわしい人間関係も、もう少しうまくいくだろう。
ただ、当たり前の話だが、本書を読んだだけでは現実の人間関係にすぐ対応できるわけではないことは著者も言っている。男性上司が本書にある事例を理解して、現実の女性部下ひとりひとりと対応していくしかないのである。
個人的には、本書に出てくる例は大企業の優秀社員だな、と思った。もっと自己主張ばかりするモンスター社員も現実には多い。その場合は育成・指導の枠では収まらない場合もある。