「私はもう一生、夫に愛されないままなのでしょうか? イヤです、このまま女を終わりたくない!」
私がセクシュアリティカウンセリングを始めてからの数年間に、このような叫びを何度聞いたことでしょうか。そしてその声の多くの主は48〜49歳の女性でした。彼女たちは、ただでさえみずみずしさを失っていく自分のからだに悲しい思いをしている年齢なのに、最愛のパートナーからもセックスを求められないことで、女性としての価値を否定されたように感じていたのです。女性にとって「50代」という円熟期を前向きに迎えることが、いかに難しいかを思い知らされました。
女性たちの話を聞くたびに、「男性はいったい何を考えているのだろう?」と疑問に思い、40〜50代の男性来談者に話を伺うと、彼らは彼らなりにパートナーを大切にしているのですが、「いまさらセックスなんて気恥ずかしいし、どうやって気分を盛りあげたらよいかわからない」と、とまどっているのです。
高度成長期、若者の性が急速に解放される一方で、古い価値観も共存していた時代に青春期を過ごしたいまの中高年世代は、セックスを通しての愛情表現がとても不器用だと感じます。女性は遠慮して男性に自分の欲望を伝えられず、男性は女性に対して「以心伝心」でわかってほしいと甘えているのです。男女のコミュニケーションは、こころとからだと言葉のすべてを駆使して伝え合っていかなければ始まらないのに、男女お互いの理解不足がとても残念に思われました。
セックス関連書は巷にたくさんあります。しかし、それらのほとんどが若い世代に向けたテクニック解説本で、中高年世代にはあまり参考になりません。そこで、中高年世代に特有のからだやこころの変化を踏まえたうえで、どのようなセックスなら中高年世代が楽しむことができるのか、カウンセリングの現場で拾った声をもとにご紹介したいと思い、本書を執筆することにしました。
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