ブルース・リーの「燃えよドラゴン」が我が国で公開されて、クチコミによる評判が評判を呼んで大ヒットを飛ばしたのが73年暮れから74年初春にかけて。それからリーの過去の作品だけではなく、香港や東南アジア製のカンフー映画が大挙して我が国にやってきて、70年代後半までカンフー映画ブームが続くわけである。
そこでこの映画である。おそらく外国製カンフー映画に後れをとるまいと、またはブームに便乗しようと東映が制作したのだろう。製作は74年。恥ずかしながら今になって初めて観ましたが、スッゴク面白い。香港製カンフー映画よりはるかに面白い。物語は香港の空手チャンピオンの志穂美は、香港警察の麻薬Gメンの兄が日本の麻薬組織に潜入したまま行方不明になっているので、当局の依頼を受けて救出に行く。日本の麻薬王のもとには世界中から格闘技のプロたちが金で雇われて集まっていて、牙を研いで志穂美を待ち受ける、というカンフー映画の王道を行くストーリー。
映画の最初から最後まで、殺し屋たちとの格闘に巻き込まれて、ひたすら戦い続ける志穂美が、ただただカッコイイ。志穂美を助けるのは若き日の千葉真一や少林寺拳法の指導者を演ずる内田朝雄。他のレヴューアーのかたがたもこぞって絶賛されている、マンガチックな悪役たちも感涙ものです。ラストの麻薬王との一騎打ちでは、なんと麻薬王が三本刃の手甲を右手に装着していて「燃えよドラゴン」をしっかりパクっていますが、もちろん許しちゃいます。演出はこの手の無思想ハチャメチャ娯楽映画を撮らせたら、右に出る者はない巨匠山口和彦。煩わしい現代における一服の清涼剤として効果大。ストレスが吹っ飛びます。必見です。
ついでに「志穂美悦子、カムバーック」と叫びたいです。