中国四千年の歴史上、皇帝の座に就いた唯一の女性、則天武后。冷酷な悪女として知られるが、それは後世の歴史家によって捏造されたものだという。真実の彼女は、妻として皇帝を支え、利権にしがみつく官僚と闘い、数々の改革を成し遂げた名君だった。
その武后のモノローグで物語は語られる。
人でありながら神になるとは、いかなることなのか?
絶対的な権力を手にした者に、愛は可能なのか?
「天よ、なぜこの私だったのか──」
広大な帝国の未来を委ねられた彼女は、幾度となく天に問いかける。天命に翻弄され、孤高の玉座についた一人の女性の痛切なる叫びが切ない。武后の語りを読み進めるうち、女帝であることの圧倒的な孤独と、自らの運命を生きることの哀しさと、限りある人生にとって歴史とは何なのかという問いかけが、胸にせまるだろう。
世界的ベストセラーとなった『碁を打つ女』(早川書房)の著者による最新作。詩情あふれる簡潔な文体は、壮大な歴史を語るにふさわしい。そして奇跡のように美しく切ない。
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
歴史書ではない。確かな物語,
By rinko (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 女帝 わが名は則天武后 (単行本)
則天武后の評伝、と思って手にしたのだが、そこにあったのはまさしく物語の世界。翻訳なのにこの文章の美しさはなんだろう? 静謐に裏打ちされた内省の中に、どうしようもない自分の「我」と「欲」が芽を出し、 やがて諦念がひたひたとおしよせてくるのを受け入れられない…。 そんな女性が、確かにいたのであろうと思わせられる。 超一級の小説!
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
違う視点の歴史,
By
レビュー対象商品: 女帝 わが名は則天武后 (単行本)
歴史に名を残した人たちのその姿は、結局は彼らを打ち倒した人間が残した“史実”に拠るもので、それが“真実”であるとは限らない。武照は、教科書ですら「悪女」的な表現になっているが、実際にはあの中国で一時代を成した女傑なわけで、血統、伝統、歴史そのものをくつがえし、男尊女卑やしきたりにも真っ向から挑んだ人でもある。 これはあくまでも物語だが、それでも恐らくは武照という人間の別の見方を形にしたものなのではないかと、読んでみて思った。 落ち着いて冷静な文章で、それがかえって歴史全体を見渡すにふさわしい雰囲気を作り出し、一枚の豪華な織物を見るような本だった。
22 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
天野先生の挿絵もいい感じ,
By sekizono (素晴らしき青空の会・東京本部) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 女帝 わが名は則天武后 (単行本)
則天武后と言えば中国史上でも妲己に並ぶ残忍な処刑法などで悪名を轟かせた后妃としてその名を知られている。 でも最初から「悪女」だったわけではないし 彼女自身、自分が「悪女」であると自覚していたのだろうか? 歴史というのは後年の歴史家によっていくらでも解釈が 変わってくるもの。 フィクションなのは分かっているけど固定観念を捨てて 読んでみるのもいいんでないのかな? あと挿絵がFFシリーズとかグインサーガで有名な天野善孝先生なのよ。 絵で更に幻想的な雰囲気になっててなおよし。
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