著者が接しているのと同じような学生に接する機会がないでもない評者には、著者がこの本に書いている教室の雰囲気が何となく理解できるような気がする。上から目線での物言いが決して通用しないクールさと、放ってはおけないようなはかなさや危うさとが同居しているような、何ともうまく形容しがたいその感覚。
筆者の慎ましやかで一歩引いたようなコメントからは、そうした彼女たちをエラそうに分析したり説明したりするような傲慢さからは敢えて距離を取っているような、そのような心遣いを感じるのである。
わからないことはわからないなりに、理解できないことならそれも理解できないなりに、そのままに接しようとする著者の、そのような筆の運びに、評者としては好感を持った。
そういう意味でこれは「優しい」本である。