作家車谷長吉のルーツが垣間見える。慶應義塾大学独文科在学中の
ペーパーから学位請求論文まで掲載されている。それらを読むと、
「慶應を卒業している」といういわゆる「学歴」で彼を見ることは
無意味であることが自明だ。カンバンだけでなくことカフカに関しては
全著作を独語辞書をひきながら清貧の部屋で読んだという、彼の学びの
深さが理解される。カフカの研究書だけでも独語で4000冊あるという。
慶応義塾では卒業論文に関しては他のすべての研究書を渉猟することが
求められるほど、合格に関して厳格であると聞く。
作家車谷のスタートはカフカだと思われるが、独自の世界を構築してきた
ことに敬意を表さざるをえない。できれば作家車谷のカフカ論を一冊の
本にしていただきたいと願うのは無理だろうか。