タイトルでもある『女は男の指を見る』、これは僕自身たしかに実感としてあるし、女性から指を褒められたという男性は、少なくないのではないか。別にそれで「役得」がこれまであったわけではないが、本書ではそういった「男の指」の問題も含め、動物行動学が専門の著者が、男と女が惹かれあうわけを解き明かす。
本書がまず前提として立てるのは、生物の繁殖活動が「種の保存」ではなく、個体の保存であるということ。人間界での常識とは異なり生物界ではもっぱらメスの側が、自分の遺伝子を残すための有能なオスを選ぶ。種という大枠がどうなろうが知ったこっちゃなくて、彼女らは、有能なオスにだけなびくのだ。本書では、これまでの動物を使った研究によって明らかになった、様々な種で今も開催されている遺伝子競争レースが紹介される。
それらから浮かび上がるのは、テストステロンやHox遺伝子、免疫力の証であるシンメトリーなどが三すくみになり、個体としてのオスの魅力を醸し出しているという事実だ。人間のオスに限って竿の先端があんな珍妙な形をしているかの理由など、一見トリヴィアルだが、「へぇぇ」と思わず唸ってしまうようなことも教えてくれる。
ただ著者の竹内さんは今年2月にも『
草食男子0.95の壁』という本を著していて、実のところ内容はほとんど丸かぶりに近い。だから、二冊のうちどちらか一冊をといえば、内容も豊富で安価なこちらを選ぶ方が得策だろう。
ところでこれまで日本では差別につながると危惧した学会のある重鎮の一言によって、この種の実験が人間ではできない状態にあったらしい。著者はそれに反論し、「学問上の議論と一般社会の通念は切り離して論ずるべき」というが、こういったライトな新書に著していること自体、その両者を巡り合わせてしまっているように思うのは、僕だけだろうか。