ある日偶然アラブ系若き美女の災難を助けた女性を通して
フランスが抱えるアラブ系移民の問題や
その他数えきれないくらいの矛盾をシニカルに描き
時々クスッと笑えるコメディ・ドラマに仕上げた秀作である。
この作品には多くのテーマがあって
どれも無視できない問題を抱えていて
各々のエピソードで非常に考えさせられる。
逆らう事は決して許されないアラブ系移民の家父長制の不条理さ
フランスで活路を見いだせない男達によるDV問題
ドラッグ売買の利権が人命より重要なマフィアの存在。
意に染まない結婚をするか、身売りするか
この2つの選択しか与えられないアラブ系女性の復讐
長年の結婚生活で家政婦として扱われる女の反逆
高齢になっても家族と同居する事を拒む
フランス女性の頑固さ。
恋愛以前にセックスの相手を変え続ける学生達。
妻以外の女性を追いかけて何の罪悪感も感じない男。
などなど、まさしく原題の通り「カオス」状態だ。
愛については妥協しないと公言するフランス人が
さて、これらの問題の解決策を見いだせるのか、
監督の意図も頷ける。
主演女優二人、カトリーヌ・フロとラシーダ・ブラクニは
今のフランスを代表する女優さん達だ。
カトリーヌは肩の凝らない演技で平凡な女性が何かに目覚めて行く姿を
コミカルに演じて秀逸だし(この方、本当にお上手です)
ラシーダは迫真の演技で心に残る存在になった。
女性だけではなく
ぜひ男性にも観ていただきたい女のドラマがいっぱい詰まった作品です。