幼稚園児のなつみは、ゆえあって父側の祖父のもとに一家で身を寄せることになった。海の見える村から山と田んぼと工場のある街へと越したなつみ。そこで知り合ったのはみさちゃんときいちゃんの二人だ。これは彼女たち3人の女の子の物語。
西原理恵子の、おそらくは自身の子供時代を投影した漫画です。経済的には全く恵まれない、勉強だって決して出来るとはいえない、3人の女の子たちはいわゆる不良と呼ばれる仲間たちとつき合いながら、山間の町で倦怠感と閉塞感を抱えながら成長していきます。
読んでいると、登場人物たちのその生活のすさみぶりに心がざらつく思いがします。ささくれだった日々は決して楽しいとはいえない数々のエピソードに彩られていて、いつ果てるとも知れぬ痛ましい物語の連なりに、ため息がもれるばかり。哀れというか、気の毒というか、なんとも形容しがたい書ですが、それでもなんだか不思議な魅力があるのです。
それはおそらく、世界というものがあたかも、自分たちが暮らす町の、目の届く範囲にしか存在しないかのような子供たちの世界観が非常によくとらえられていて、そこに、これほど気のめいるような子供時代を送ったわけではない私にも、懐かしく心重なるものを見つけることが少なくはないからでしょう。
そしてまた、登場人物たちが、自分たちの決して賞賛できるわけではない人生に対してまずまずの折り合いをつけて生きる姿は、それが諦念からくるものであるには違いないにしても、妙に共感を与えないではないのです。
人生のままならなく、やりきれなさを描くことにかけては、西原理恵子というのは大変巧みな作家です。本書はそのことを改めて感じさせる一冊です。
ですから、そうした西原流の人生観に触れる気分ではないという読者には、大変「痛い思い」を与える書であることだけは間違いありません。